ご挨拶

吉國理事長

吉國理事長

公益財団法人鹿児島奨学会 
第9代理事長
吉國 浩二
(社会構想大学院大学学長)

 鹿児島奨学会は東京近郊の大学で学ぶ鹿児島と宮崎出身の大学生を物心両面から支援する公益財団法人です。明治39年に文京区本郷追分に学生寮同学舎を開設して以来110余年、これまでに1700名に及ぶ有用な人材を社会に送り出してまいりました。現在は東京西部の日野市に移転して、学生たちは自然豊かな環境の中で勉学やスポーツなどの部活動にいそしみ、充実した大学生活を送っています。
 大学教育の役割として強調されるのが「人格形成」です。不確実性が高まった現代において急激な変化に的確に対応し、イノベーションや新たな価値の創造ができる人材は日本ではまだまだ不足しています。こうした能力は一人だけの努力では身に着けることはできません。様々な知識や意見を持った人たちがお互いを尊重し切磋琢磨する環境で培われるのです。東京の大学には全国各地、さらに海外からも気鋭の学生たちが集まっています。最新の知識技術も集積されています。こうした多様性に満ちた環境で研鑽することで日本はもとよりグローバルな舞台で活躍できる人材が生み出されていくのではないでしょうか。
 とはいえ故郷から遠く離れて土地勘のない所で、一人で暮らすのは大変なことです。都会では学費に加え生活費の負担も大きく、本人は勿論、我が子を送り出すご両親もご心配なことでしょう。さらにご両親には東京の生活に慣れると今度は故郷への思いが薄れてしまうのではないかという危惧もあるかもしれません。
 同学舎は同じ故郷のアイデンティティーを持った学生が共同生活を送ることでこうした不安を取り除き充実した学生時代を過ごせる環境を提供しています。舎生の出身高校や現在通学している大学は様々ですが、それぞれの経験を交流し、寮で催すバラエティーに富んだ行事に参加することで、熱い友情を培っています。社会を大混乱に陥れたコロナ禍では、大学へ通えない不安や寂しさを皆で励ましあって解消し感染者が出た際には協力して手厚いサポートをして乗り切りました。
 さらに同学舎出身の先輩たちが学生生活や卒業後の進路の相談などでサポートしてくれます。奨学金に加えて海外留学の支援制度なども充実しています。同学舎の理念は「ローカルに根ざしたグローバルな人材を育む」。グローバルな活動で海外の人からの信頼を獲得するためには、自らの出身地の歴史や思想などに裏付けられた深い教養が必要とされます。年中行事の中には故郷の歴史を学ぶ研修旅行や渋谷で開かれるおはら祭りへの参加などがあり、故郷への想いは深まることこそあれ、決して失われることはないと確信しています。
 奨学会では毎年秋に舎生の父母の方々に対する説明会を開いておりますが、この場では「同学舎のおかげで子供たちが生き生きとして学生生活を送れている」などお褒めの言葉をいただいており大変光栄に思っております。こうしたご評価が揺らぐことのないよう今後とも舎生に寄り添った寮の運営を心掛けてまいりますのでご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

鹿児島奨学会同学舎 令和6年度後期寮長

山口 駈(一橋大学)

 

こんにちは。今年度後期の同学舎寮長を務めさせていただきます、2年の山口駈です。
伝統ある同学舎の寮長という役目を任され、大変光栄に思います。今後も同学舎のさらなる発展に向け、精一杯努めてまいります。
ここで、簡単ではありますが、同学舎の魅力について二つご紹介させていただきます。

一つ目は、同じ故郷を持つ仲間たちとともに、学生生活という貴重な時間を共有できることです。ここで出会った仲間は、学生生活の4年間はもちろん、社会人になってからも大切な存在になります。地元を離れたこの場所で、同じ地元の仲間とともに、日々ご飯を共にしたり、他愛のない話を楽しんだり、グラウンドで汗を流したり、行事に力を合わせて取り組んだりといった経験ができるのは、同学舎ならではの特別な魅力です。

二つ目は、私たちを支えてくださる多くの方々の存在です。舎生のために同学舎の運営をしてくださる事務の方々、ほぼ毎日朝と夜にお食事を用意してくださる管理人の方々、さらには私たちに多くの貴重な機会を提供してくださるOBの方々など、数えきれないほどの方々が応援してくださっています。学生時代から社会人の方々との交流ができるのはとても貴重で、社会に出る上で大きな学びの機会となっています。

最後に、私たちが恵まれた環境で学生生活を送れるのは、多くの方々の支援のおかげであることに感謝し、この貴重な時間を有意義なものにしていきたいと思います。舎生全員が楽しく充実した時間を過ごせるよう、私も全力で貢献してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。